ZINEの展示販売イベント「zine zine zine 2022」を終えて

 

ZINE(ジン)文化があまり根付いていないこの富山でも、ZINEの面白さにたっぷり触れられる機会があったらいいなと思って始めたイベント「zine zine zine」。

 

今年も全国各地から個性豊かなZINEが集まり、盛況のうちに終えることができました。

 

「ZINEって何…?」と勇気を出して来店して下さった方、SNSでチェックして下さった方、そして何より素敵なZINEをご出展下さり、共にイベントを盛り上げて下さった出展者の皆さま、本当にありがとうございました。

つたない運営にもかかわらず温かく見守って下さり、心から感謝申し上げます。

 

 

あらためて、ZINEについて考えた事をつらつらと。

 

ZINEは、主に紙とペンと印刷機という、シンプルな道具を使って作られるものです。そして第三者による校閲、校正を通さないからこそ、その一冊に「その人自身」が煌々と表れる。だからこそ、うわ、これめちゃ心に響く!うわ、これめちゃ合わない!が、各人によってくっきりと分かれると思います。

それは人と人との関係性のようなもので、好み、相性のようなものが「ZINE」には滲み出やすいのだと思います。完璧に整ってない、つたなさ、不器用さ、滑稽さが滲み出ているほうがなぜか愛おしく感じるのも、人と人との関係性に似ているなぁと思います。

 

このイベントでは、ジャンルを絞らず、さらに全国どこからでも出展可能と間口を広くして、あえてごちゃまぜ感のある状態を作りました。それは、ZINEの多様性をイベントに訪れた人に感じてもらいたかったから、というのが一つの大きな理由でした。

どこかで自分と似たことを考えていて、それを「ZINE」という形で表現している誰かとの出会いの場になれば。その出会いが、どこかの誰かの人生のモヤモヤを一時的にでも晴らして、何かの光になれば。その一冊の中の1ページ、その1行が、誰かがクスッと笑える瞬間になったらすごいし、それがまわりまわって作り手自身に伝わったらものすごく嬉しいし、そんな想いが交差する場になれば、主催者としてこんな嬉しいことはありません。

 

…と、そこまでマニアックにじゃなくても(笑)、ZINEの面白さ、奥深さを色々な人に感じ取ってもらえる場にしたいと思っていました。

 

しかし2020年から一年、二年、三年と、あまりにも多種多様なZINEに出会い続けていると、だれよりも主催者自身が「ZINEって…なんなんだろうか?」と、逆に新たな問いをグルグルと感じるようになっています。それはそれで、面白いことです。

 

また、ZINEを「販売」するイベントを主催してみて感じたことがあります。

それは、売ること、売れることを目的としてZINEを作っている人っていうのは少ないんじゃないかな、ということです。

ジンスタ(=ZINEを作る人)にとっては、ZINEを作ること自体にとにかく意義があって、作ったものをどうするか(身近な人に配る?それとも置いてくれる店を見つける?)まではあまり考えずに作っている人が多いような気がしています。

だからこそ主催者として、とくに出展者の皆さまにどうしてもお伝えしたいのは、今回このイベントであまり売れなかった人もどうか気落ちせずに、また作って、そしてまた誰かに届けてください。せっかく作られた世界に一つしかないZINEが、きっとこの世界のどこかにいるであろう同じことを考えている誰かに、届いてほしいなと思います。

 

いま各地でさまざまな形で「ZINE」にまつわるイベントが開催されています。

色々のぞいてみると、イベントごとの色や空気感があります。このイベントでは全然誰にも届かなかったけど、あのイベントでは届けたい人に届きやすい気がするとか、そういうのがあると思います。(たぶん空気というか肌感で感じるはず。)

だからこれからも、それぞれの味を大切に、いろんなZINEイベントを楽しみながら、共に可能性を拡げていけたら幸いです。

 

 

さて、無事に3年目の開催を終えることができたこのタイミングを、一つの区切りとして、この形での展示販売イベントを開催するのは一旦終わりにしようと思っています。

 

来年以降はどんな形になるかわかりませんが、この3年間に出会った方々、全国のジンスタさんとのご縁も大切にしながら、引き続きZINEをより深く楽しめるなにかを考えていきたいと思います!

 

ZINEについて、まだまだ分かっていない事、気づいていない事がたくさんある気がしています。ますます深堀りしたくなるのがZINEの世界でもあります。

私たちも、これからもより深く、ZINEとの出会いを楽しんでいきたいと思います。

 

ここまで長文を読んで下さり、ありがとうございました!

 

zineと、

本居

小林